投資効果の評価

1.EVA (Economic Value Added)

 経済付加価値
   収益性指標

   毎年のオペレーションから入るリターンから
     投下資本に対して発生している資本コストを差し引く

   プラスの場合、企業は投資家の期待を上回る経済的価値を生み出している

 計算式
   EVA = NOPAT - CE × WACC
     NOPAT:税引後営業利益
     CE:有利子負債+株主資本
       = ネット資産に投下されたキャッシュ総額
       = 正味運転資本+有形固定資産+その他資
     WACC:加重平均資本コスト

2.NPV(Net Present Value)

 正味現在価値
   投資額に対して将来的に期待できる価値を算出する
     プラスの場合に投資価値があると評価する

   投資を決定するための評価指標の1つ
     NPVが大きいほど生み出す価値が大きい
     異なる条件の投資案件を単純比較できる

 計算式
   NPV = PV(現在価値) - 投資額
     投資によって将来発生するキャッシュフローの現在価値(PV)から
     投資額を差し引いて求める

     現在価値は
       PV(現在価値) = 将来受け取る金額 / (1 + 利率・割引率)n乗

 例題
   投資額:5,000万円
   割引率:4%
   フリーキャッシュフロー:300万円
   想定期間:5年
   NPV={300÷(1+0.04)^1 +
       300÷(1+0.04)^2 + 
       300÷(1+0.04)^3 + 
       300÷(1+0.04)^4 + 
       300÷(1+0.04)^5}- 5,000万円
     =-36,644,533
       投資価値は無い

   投資額:5,000万円
   割引率:4%
   フリーキャッシュフロー:1,200万円
   想定期間:5年
   NPV={1,200÷(1+0.04)^1 + 
       1,200÷(1+0.04)^2 + 
       1,200÷(1+0.04)^3 + 
       1,200÷(1+0.04)^4 + 
       1,200÷(1+0.04)^5} - 5,000万円
     =3,421,868
       投資価値あり 

3.ROI(Return On Investment)

 投資収益率又は投資利益率
   事業投資を評価・整理する際の基準値

 投じた費用に対して、どれだけの利益を上げられたかを示す指標
   ROIが高いほど「投資効率が高い」と判断できる

 ROI = 利益 / 投資額

4.FCF(Free Cash Flow)

 企業が自由に使用できる余剰資金
   お金の流れを知るには、貸借対照表と損益計算書の把握が必須
     これらは帳簿上でのお金の流れしか分からない
     現在どのぐらいの現金(Cash Flow)があるのかを知る必要がある

   事業拡大や借入金の返済にどれだけ予算が割けるかを決める重要な要素

 計算式
   FCF = 営業キャッシュフロー ー 投資キャッシュフロー

 注意点
   ・現時点で手元にある現金だけで算出すること
     製品が100万円売れたとしても、売上の入金が1カ月先であれば、
       手元に現金はないため、売上はゼロ

     必ず入金のあった売上額、支払った仕入額、経費等で算出する

   ・金額のプラス・マイナスの理由をよく把握する
      資産の売却による一時的なプラスでは安定経営とは言えない
      事業拡大の多額の投資は一時的にマイナスに転じる

5.比較

 EVAはファイナンスの考え方に基づいているため、
   ROAやROEといった会計ベースの指標に比べて恣意性が入りにくい

 EVA数字を単年度ベースで算出することができるため、
   企業のマネジメントサイクルに合わせやすい

 NPVは投資の意思決定に向いている

 FCFは巨額の投資を行うとすぐにマイナスの値になり単年度での判断は難しい
   EVAは収益性を反映して単年度の数字もよくなりうる