古畑任三郎(第3シリーズ)

第1話
1999.04.13

若旦那の犯罪
独演会を控えた人気の若手落語家・気楽家雅楽(市川染五郎)は、兄弟子の二つ目・気楽家苦楽(モロ師岡)の作った新作落語「タイムマシンで行こう」を演じたいと強く思っていた。
雅楽は、師匠の気楽家有楽(梅野泰靖)に稽古を付けてもらうのを自分の代わりに苦楽に頼む。目の悪い師匠には変装していけば解らないと苦楽を説得する。
苦楽がアパートに帰ったのを見計らい、雅楽は苦楽を訪ねた。新作を欲しいと最後の交渉をするが、苦楽は取り合わない。
雅楽は悲し気に苦楽の喉を掻き切るのだった。
雅楽はその足で苦楽が演じる予定だった老人ホームへ変装して急いだ。これで、苦楽は真打ちに昇進できないことを苦に自殺を図ったことになる。
が、苦楽は、「煮干し」を握り締めて息絶えていた。このダイイング・メッセージを古畑は見逃さなかった。
被害者の死亡を聞いた時にいつ殺されたかを訊かなかった

古典落語の「干物箱」に、道楽者の若旦那が替え玉を使って遊びに行くが、忘れ物して帰ってくると、父親に小言を言われる「親父のもの真似がうまい」と褒める、オチがある

扇子に被害者の血の付いた指の跡を意識的に隠す
第2話
1999.04.20

忙しすぎる殺人者
不倫事件真っ只中の都議会議員・岩田大介(佐渡稔)がホテルで死んだ。手にピストルを持ち頭を撃ち抜いており、それが釈明会見の夜のことであったため状況は限りなく自殺の可能性。

岩田は由良の企画するレストランに出資する予定だったが、出資をしぶっていたのだ。しかし、犯行時間に由良が自室から秘書に電話をかけており、アリバイがある。

そのアイデアは由良が自室にいたのでは決して気づくことなかった。
灰皿に残った燃えカスは短気な人が消したようになっていた

 冷蔵庫のビール等に犯人の片手だけの跡が残る、何か片手に大事な物を持っていた

当日はイベントで犯人の部屋の窓は閉まっていたはず、隣のビルの中が見えるはずがない、見えたのは殺人現場の部屋だけ
第3話
1999.04.27

古畑、風邪をひく
荒木ら村の幹部は、村の活気を取り戻そうと地酒開発に乗り出し、東京のデパートと組んで売り出す計画を進めていた。

しかし、薫子が責任者というのは嘘で、それが荒木たちに知れるところとなる。薫子に使った金は1500万円。表沙汰になると困るうえ、それ以上に地酒開発が頓挫しかねない。
開き直る薫子に「あんたら、田舎モンは・・・」と馬鹿にされた荒木は、薫子を一刀のもとに斬り捨ててしまった。
村人たちは荒木を助けようと、薫子の存在の証拠をことごとく抹消する。
が、薫子が忘れられない今泉は、おかしいと騒ぎ始める。今泉の爪切りには薫子の切った爪が残っていたのだ。殺人事件の臭いを感じた古畑が立ち上がる。
爪切りにマニュキアの付いた爪が残っていた
村人が用意した代わりの女が”焼酎”を”焼蛤”だと言う
第4話
1999.05.04

アリバイの死角
 古畑が歯の治療のため待合室に座っていた。古畑は山村が帰った後、治療室に入った。金森は、古畑の顔にガーゼをかぶせ、気付かれないように、助手の瀬川エリ(伊藤裕子)に治療を代わった。
金森は、コーヒーショップのトイレで男装し、山村がいる近くのオフィスビルのフロアーの男子洗面所に潜む。麻酔がきれ、痛み始めた山村が痛み止めを飲むためトイレに駆け込んでくる。金森は、ピストルを取り出し、山村を射殺した。金森は、逆のコースをたどり、医院へ戻る。そのまま、古畑の治療へと戻った。

帰りのタクシーの中で歯の磨き方を教えてもらう古畑。その時、古畑は金森の犯行と確信した。古畑の詰めが始まる。
歯科医が殺人後に戻ってきた時にお口の消臭剤の匂いがしていたのに気づき、どこかに出かけて食事をしたと気づく

男に変装していたことは分かっていたが、女が男に変装していたとは知らない筈なのにうっかり喋ってしまう
第5話
1999.05.11

古い友人に会う
 古畑任三郎(田村正和)は、小学校の同級生である小説家の安斎亨(津川雅彦)の山荘に招かれた。格別、親しい間柄でもなく古畑にはなぜ呼ばれたのか理由が分からなかった。が、それは周到に計画された、犯罪の一部であった。一体、幼なじみの安斎は古畑に何をさせようというのか・・・。
安斎は売れっ子作家だが、年の離れた妻・香織(三浦理恵子)との仲はうまくいってはいなかった。香織は編集者・斎藤秀樹(細川茂樹)と通じていたし、安斎もそれに気付いていた。
安斎は「古畑を招いたのは香織だ」という。香織は、それを否定する。では、誰が古畑を招いたのか。古畑はそこに事件の臭いを嗅ぎ取った。
今泉刑事(西村雅彦)、西園寺刑事(石井正則)らも加わり、山荘の時間は一見楽しく過ぎていくが、安斎は古畑にわざと香織の密通現場を見せようとするなど、行動が不審である。香織と斎藤も安斎が邪魔であるに違いない。事件が発生した時、刑事がいた方が得策なのは被害者か、犯人か。まだ、事件は起きていない。古畑は今度こそ事件の発生を未然に防ぎたいと願い、動き出す。
送信されてきたFAX紙に奇妙な歪みが残っていた
犬に咥えさして布切れを運び出す訓練を見て、自殺しその罪を奥さんに向くように仕向けていると気づく
第6話
1999.05.18

絶対音感殺人事件
甲陽フィルの常任指揮者・黒井川尚(市村正親)は愛人のビオラ奏者・滝川ルミ(待田しおん)から別れ話を持ち出され、カッとなって殴り殺してしまった。場所はルミのマンション。外は雨。黒井川は事故死に見せかけようと指紋を拭き取り、ルミの死体を外階段の下に運んだ。演奏会に向う途中、雨で足を滑らせたという単純な事故に見せ掛けるつもりであった。
捜査に訪れた古畑任三郎(田村正和)はルミの左ポケットに鍵が入っていたこと、熱帯魚の水槽のエア・ポンプが止められていたことなどから、事故死に疑いを持つ。早速、親しい付き合いがあり、その日の演奏会に直ちにルミの代役を呼んだ黒井川を問い詰めた。
その場を逃れた黒井川は、ルミに思いを寄せていたクラリネット奏者・石森(橋本さとし)に罪を着せようと工作する。捜査の目は石森に向いたが、古畑は黒井川の犯行と断定しており、石森に協力を求めた。だが、黒井川を追い詰めるまでにはいたらない。しかし、古畑は、絶対音感の持ち主である黒井川でなければありえない犯行現場の状況に気が付いたのであった。それは水槽のポンプが止まっていたことであった。古畑の詰めが始まる。
前もって欠員の補充を手配していた
クラリネットを壊して罪を着せようとしたが、そのクラリネットは事件当日は修理に出されていた
水槽のポンプの音は雨だれの音と響き合わないので電源プラグを抜いたと、見破られる
第7話
1999.05.25

哀しき完全犯罪
ちょっとルーズな性格の女流棋士・小田嶋さくら(田中美佐子)は、潔癖症で几帳面な夫の棋士・佐吉(小日向文世)の嫌味と小言にウンザリする毎日を送っていた。さくらが唯一、外界の空気を吸い解放感を味わえるテレビ囲碁教室の打ち合わせを夜に控えたある日、佐吉が突然、「夕飯は一緒にとる、そんな番組辞めろ。私が断りの電話をかける」と言い出した。さくらは殺意を抱いた。テレビ局に電話をかけようとする夫を背後から殴り殺してしまう。
さくらは、アリバイ工作を始める。打ち合わせに出かけ、その間の犯罪であるかのように偽装しようというのだ。佐吉が作ったよう見せるために夕食を作り、佐吉から携帯電話がかかったように周囲に思わせるため、携帯タイマーを操作した。死体は帰宅した自分が発見する。細工は完全のはずだった。
さくらは死体を“見つけ”110番。予想通り、警察は物盗りの線で捜査を開始した。が、古畑任三郎(田村正和)は、さくらの計画のほころびから、犯人はさくらである、と推論、徹底的な調べに入った。なぜ、料理自慢の佐吉が作ったはずの麻婆豆腐がまずかったのか、なぜ飼いネコが餌をたべないのか。古畑の頭が回転する。
 帰宅した際に死体を跨いだ後に荷物を落とす、古畑に死体の存在を知っていたと見破られる
几帳面な主人が作った割には料理がおいしくなく、使った調味料の蓋もキッチリしまっていなかった
第8話
1999.06.01

完全すぎた殺人
車椅子の化学者・堀井 岳(福山雅治)は、とある会社の研究員。かつての恋人・片桐 恵(戸田菜穂)と親友・等々力(板尾創路)の3人揃ってこの会社に採用された。が、いつしか恵の心は堀井から離れ、恵は妻子持ちの等々力と結婚すると言う。堀井は復讐を誓う。専門知識を総動員した綿密な計画。冷酷で陰湿な実行・・・。
堀井はその昔、学園祭のために等々力と共に作った「考える人」の像をまた制作した。二人の結婚前祝として等々力にプレゼントするためだ。その「考える人」に爆弾を仕掛けて・・・。
堀井は、策を弄し、恵が等々力の自宅に行くように仕向ける。さらに、そこから恵だけ外出させ、しかもその行動を目撃するように隣家に嘘のピザ注文をした。そして、部屋に一人になった等々力に電話をかける。「『考える人』の裏蓋を開けてみてくれ」。堀井の指示通りに裏蓋をこじ開けたとたん爆発。像は粉々になり、証拠は残らない。等々力は死亡。西園寺刑事(石井正則)らの捜査で、案の上、恵が有力な容疑者とみられた。計画は完遂されたかに見えた。
しかし、古畑任三郎(田村正和)は、等々力が、電話の子機を持ってトイレで死んでいたことや、小さな像の裸足の破片が残っていたことに疑念を抱く。今の状況を喜ぶのは誰か?古畑の推理が冴える。
 爆発事故を訊かされた時に、けが人の様子だけを聞いて、爆発の大きさを訊かなかった、これは前もって爆発の大きさを知っていたと疑われる
プレゼントの包装紙を大事に取っていた、この包装紙から犯人の指紋が出る
第9話
1999.06.08

雲の中の死
飛行機の洗面所で女性の死体が見つかった。

古畑に隣席の臺が話し掛けている。
臺が1階に降りてきた。狭い個室でもみ合ううち、機体が揺れ、壁で頭を打った由美子は絶命してしまった。

洗面所を出る時に少年に顔を見られてしまった。手近にあった副パイロットの制服を着込んで、今泉と、西園寺に副パイロットと思わせた臺は、乗客と乗務員の二役をこなしながら、由美子の死を自分とは無関係の事故死に見せようと必死の芝居を打つ。
機長に変装しようとして、室内履きのスリッパから革靴に履き替えたのを見られる
向かい側の席に、死んだ女性のコンパクトの反射光でうっすらと犯人の姿が映し出されたのを妖精と間違えたのは誰かがその席に座っていたと気付かれる
第10話
1999.06.15

最後の事件・前編
ボストンバッグを抱え、逃げ回る牟田(小原雅人)。牟田は、車内にバッグを置き忘れたまま電車を飛び出し迫る男に射殺された。事件は通り魔の犯行と片付けられそうな気配。一方、牟田を追っていた「SAZ」のメンバーは、牟田が持っていたバッグが電車に置き去りにされたことに頭を抱えていた。リーダー・日下光司(江口洋介)は、遺失物センターに眠るバッグを取り戻す秘策に思い当たった。
駅の管理センターにやって来たSAZメンバーの一人・浅香(斉藤洋介)は、警視庁公安部と称し「電車ジャック」の予告があったと告げる。電車が乗っ取られることなど無いと言う職員の前で、路線表示板の最終列車705M列車が停止する。すかさず「電車を乗っ取った。5000万円用意しろ」と日下の声で無線が返ってきた。日下たちメンバーは、近くの寺に設置したコンピューターを操作し、駅の管理センターの通信回線をコントロールしているのだった。
が、管理センターには偶然、古畑と西園寺が居合わせた。「なぜ予告したのか」「終点でつかまると分かっている電車をなぜジャックするのか」「重い小銭しかない電車の売り上げをなぜ狙ったのか」・・・。不可解な犯罪。そこに、ジャックされているはずの最終列車で今泉がやって来る。「ジャックされたのは我々だ」。気付く西園寺の前にSAZメンバーが立ちふさがる。3人の運命は・・・。
 運転手が一度も表に出てこない
ボールペンをカチカチと鳴らす音が電話の向こうでするのが、耳に残っていた
第11話
1999.06.22

最後の事件・後編
仲間が電車内に置き忘れたボストンバッグを取り戻そうと、駅の電車運行表示システムを混乱させ、架空の電車ジャックを起こしたグループ「SAZ」。警視庁の公安部を装うリーダー日下(江口洋介)らは、まんまとそのバッグを取り戻すかに見えた。が、古畑任三郎(田村正和)は、ほんの小さな彼らの不審な動きを見逃さず、身代金受け渡し場所まで同行する。なぜ、SAZのメンバーはこうまで大掛かりな計画を組み立てたのか?古畑が巧妙に仕組まれた「犯罪ゲーム」の謎に挑む。 
おまけ
2006.0103

今、甦る死
鬼切村の名家・堀部家では、15年前に当主・幾三が謎の失踪、そして今、幾三の義弟で現当主の伍平が熊に襲われ死亡する。幾三の次男・音弥(藤原竜也)は、跡を継いだ兄・大吉(千葉哲也)と裏山の売却を巡り衝突してしまう。そんなある日、音弥は、恩師である郷土資料館館長・天馬恭介(石坂浩二)に資料の整理を依頼され、小学生の頃に書いた自由研究ノートを発見する ― テーマは「完全犯罪」。音弥はノートに書かれたトリックを実行して大吉を殺害する。前半:事故死に偽装
①音弥はかつて自分が書いた自由研究を見つける。研究のテーマは『完全犯罪』で、家に持ち帰る。
②『鎧』と『雪』で殺害を計画する。2階にある自室から竹馬で、離れにある大吉の部屋に移動し、警棒で撲殺する。
③遺体を納戸前まで運ぶと手袋をはめる。床に角砂糖を2個縦に積むと、その上につっかえ棒を置く。そして鎧の入った箱を棒で支えさせた。廊下の端からバケツに入った水を垂らすと、傾斜により水が流れて、角砂糖を溶かしてくれる。

・流れた水が甘かった
・床が傾いていた
・鎧を置く場所が無かった
・以上で偽装だと分かる

後半:音也の死の真相
①死後にノートの存在が明らかになる
②祖父の死と裏山の取り壊し時期が同じだと分かる
③小学生の時の担任だと分かる
④ノートの火薬の量の記述が書き換えられていた

以上の点で先生が犯人だと分かる